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ユーロ2024で違和感。スペイン無敵艦隊復活?歴史的背景と現代の誤解

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サッカーユーロ2024でスペインがイングランドに勝利し、7戦全勝で優勝を果たしました。

マスコミは「無敵艦隊」復活という見出しを取り上げています。確かに今大会ではスペインは圧倒的な強さをみせて「無敵」でした。

しかし、本家本元の英西戦争におけるスペインの「無敵艦隊」はイギリスに押し返されたので、この表現には歴史的な違和感を感じる人も多いのではないでしょうか。

本記事では、「無敵艦隊」という言葉の歴史的背景と、その実態について調べてみました。

無敵艦隊の歴史的背景

無敵艦隊」とは、1588年にスペインがイングランドに対して送り出した大規模な艦隊を指します。

スペインのフェリペ2世は、イングランドエリザベス1世の統治下での海賊行為や宗教的対立に対抗するため、この艦隊を編成しました。しかし、この遠征はスペインにとって大きな試練となりました。

接近戦に持ち込もうとしたスペインに対し、イギリスは射程の長い武器を用いて海戦に持ち込んだそうです。

スペインも対策は行ったものの、この海戦以降、最終的にはスペインの国力を下げることになりました。

無敵艦隊の敗因

  1. 戦術の違い: スペイン艦隊は主に白兵戦を想定していたのに対し、イギリス艦隊は長距離砲撃を主体とする戦術を採用しました。これにより、スペイン艦隊は不利な状況に立たされました。

  2. 船舶の性能差: スペインの大型ガレオン船は機動性に劣り、イギリスの小回りの利く軽量艦に対して不利でした。

  3. 天候: 悪天候がスペイン艦隊に不利に働きました。特に帰路での暴風雨による被害が大きかったです。

  4. 補給の問題: 遠征のため、スペイン艦隊は補給線が延びきった状態でした。

  5. 指揮系統: スペインの貴族制度や陸戦向けの組織体制が海戦には適していませんでした。

海戦の結果と歴史的意義

アルマダ海戦での戦闘自体は決定的な勝敗がつかなかったものの、イギリス艦隊の戦術的優位が明らかになりました。その後の暴風雨による被害も含め、スペイン艦隊は大きな損失を被りました。

この海戦は、スペインの海上覇権の衰退とイギリスの台頭の転換点となりました。しかし、即座にイギリスが海洋覇権国家になったわけではなく、スペインはその後も一定期間、強大な海軍力を維持しました。

無敵艦隊」の呼称の誤解

興味深いことに、「無敵艦隊」(Armada Invencible)という呼称は、当時のスペイン側ではなく、後世のイギリス人によって揶揄的な表現として稀に用いられていたものが、時代とともに拡大解釈されていったようです。

スペイン側では単に「大艦隊」(Gran Armada)と呼んでいました。実際には、無敵ではなかったことから、この名称は歴史的な誇張であったと言えるでしょう。

サッカーと歴史の対比

サッカーユーロ2024でのスペインの勝利を「無敵艦隊」の復活と称することには、歴史的な誤解が含まれています。過去の無敵艦隊は歴史的に見ても決して無敵ではなく、その敗北はスペインの海軍力の転換点となったのです。

ただ、今回のユーロ2024での全勝優勝は文字通り「無敵」で、その点では正しいが、そもそもの「無敵艦隊」の名称はイギリスの皮肉でつけられた名称だという事は、覚えておきたい点です。

同じ違和感を持った方が14年前に記事にされていました

1.艦隊としての「無敵艦隊」は、スペイン人が自称していたのではなく、それをアルマダの海戦でやぶったイングランド人が皮肉をこめて呼び始めた。

2.サッカーチームとしての「無敵艦隊」は、1998年のW杯予選を無敗で勝ち進んだ時、日本のメディアが呼び始めた。

3.日本以外では、スペインチームを「無敵艦隊」と呼ぶのは一般的ではないらしい。

上記リンクから引用

なんだか、スペインチームに失礼な呼称ですよね。

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結論

無敵艦隊」という比喩はどうかと思うが、今回のスペイン代表は「無敵」であり素晴らしいチームでした。

歴史を振り返ることで、現在の出来事をより深く理解することができます。「無敵艦隊」という言葉の歴史的背景を知ることで、より世界の動きを楽しめると思います。ただ、歴史に関するものは生半可に手を出すと浅い考察しかできない「痛い状態」になるので注意が必要です。

歴史の流れから見た両者の立場、宗教問題が複雑に絡み合います。どちら側に立つかで見方も異なります。

間違っていることがあればご指摘ください。