43号線を西へ東へ

フリーランスの備忘録、アウトプットの実験場

国道43号線の朝の風景。よそ見していたのは、どちらだろう

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朝7時、国道43号線を東へ走って出勤である。

車に乗っているとき、僕はできるだけ周りの運転手の視線を見るようにしている。

並走している車、対向車、前の車は直接見えないけれど、ルームミラー越しに「どこを向いているか」は案外わかる。

流れに乗ってない車はだいたいスマホを見てるか、同乗者と喋っているか、ぼーっとした人か。あまりにもマイペースな車からは離れて走ればストレスがなくて良い。

今日は後続車が妙だった。

バックミラーに映る運転手が、やけに上を向いている。こちらに視線がない。

黒いコンパクトカー。運転していたのは30代か40代くらいの女性だった。

信号待ちのたびに、つい確認してしまう。

見ていると、どうやらバニティミラーに向かって化粧直しをしている。しかも、目の周りだ。カーラーか、アイブロウか、アイラインのペンみたいなものを右手に持って、必要以上に腕を上げてゴソゴソしている。

満員電車の中で化粧する人がいるぐらいだから、走るパーソナルスペース自家用車ならそりゃ化粧もするだろう。

もちろん鏡を見るなんて目線が進行方向から離れる危険な行為だ。信号待ちにちょっと、ならまだ分かる。

でもその女性は、走っている間もずっとサンバイザーを下ろし、ミラーに目をやっていた。20分近く、ずっと。

交通量の多い朝の43号線でそれをやる胆力もすごいけれど、車間距離は気持ち広めで、車も比較的新しい。追突防止機能も付いていそうだ。

だから「ぶつかられる怖さ」は意外と少ない。

それより僕の興味は、別のところに移っていた。 この人は、どこまで化粧を続けるんだろう。

その車を見つけたのは香炉園を超えた西宮あたり。府県境を超えた佃の交差点あたりまで、ずっと一緒に走っていた。

途中で車の位置関係は入れ替わったし、間に別の車が挟まったこともあった。それでも、バックミラーの向こうの彼女は、ずっと化粧をしていた。

事故も起きず、追突もなく、無事に走れてよかった。

でも僕は運転しながら、彼女を気にしてチラチラ見続けていた。「いつか事故るんじゃないかな」と思いながら。

その車が西島の方へ右折したあとで、気がついた。

僕も同類かも・・・

運転中に“前じゃないもの”を見ていた時間が、確実にあった。

彼女の目線がミラーに吸い寄せられていたように、僕の目線もまた、彼女に吸い寄せられていた。