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ソナーシステムを理解して【沈黙の艦隊】をさらに楽しくみる_Amazonプライムビデオ

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沈黙の艦隊Amazonプライムビデオで公開されています。エピソード5の沖縄海戦を見終わったところです。潜水艦を巡る戦いは非常に興味深いものの、かなり難解な内容なので、都度調べながら見ことにしました。

前に原子力潜水艦ディーゼル潜水艦のステルス性能についての記事を書きました。今記事では、ドラマに度々出てくるヘッドホンをつけた人たち(ソナーマン)が何をしている人たちについて調べてみたので書き残したいと思います。

あくまで文系素人の説明です。子供に「潜水艦は音を頼りに海中を進むんだぞ」と説明するぐらいの内容です。その点ご容赦ください。

潜水艦の目、ソナーとは

水面下で活動する潜水艦には窓がありません。水上近くに浮上すれば潜望鏡で外を覗くことができますが、海中では視界ゼロの中、音を頼りに進みます。

潜水艦に搭載されたソナー(Sonar)とは、音波を利用して水中の物体を探知または測定する技術です。「SOund Navigation And Ranging」の略で、音響ナビゲーション及び測距の意味を持ちます。ソナーは潜水艦だけではなく一般船舶では海底地形を見るために用いられます。また漁船の魚群探知機などでも広く使用されているようです。

2つのソナー(アクティブ・パッシブ)と、それを操るソナーマンのキャスト

潜水艦が使うソナーには大きく分けて二つあります。一つは自ら音波を発して反射を待つ「アクティブソナー」。もう一つは、周囲の音を聞き取る「パッシブソナー」です。ソナーマン(水測員)がそれらの操作の役割を担います。劇中では「通常動力潜水艦たつなみ」はユースケサンタマリアが演じる南波栄一、「原子力潜水艦やまと(シーバット)」は前原滉が演じる溝口拓男がその役を担います。

アクティブソナー

アクティブソナーは、潜水艦から出した音が物体に反射して周りの形状を調べる方法です。これは、暗闇で懐中電灯を使って物を探すという例えが使われます。音波は懐中電灯の光のように直進し、物体に当たると反射してソナー装置に戻ってきます。この反射波を分析することで、物体の位置、大きさ、形状を割り出します。

おそらく海底の隆起も見えるはずですし、もちろん海中に浮いている潜水艦や魚も「見える」のだと思います。

しかし、アクティブソナーは音を発します。他の潜水艦もソナーマンが同じように聞き耳を立てていますから、当然その音を聞かれることを覚悟しなければなりません。アクティブソナーは敵を知る事が出来るのと同時に、自分の位置を敵に知られるリスクもあるのです。

ドラマ内では魚雷の命中精度を上げるために使われていました。

パッシブソナー

パッシブソナーは、暗闇の中で目を閉じて耳を澄ますように周囲の音を聞くことで、周りの情報を得ます。

隠密行動を行う潜水艦は、見つからずに任務を遂行する必要があります。パッシブソナーによって、潜水艦のスクリュー音や、他の船の水を切る音やハッチの閉まる音、海中の自然音など、水中のさまざまな音を捉えます。

この方法では、自ら音を発することはないため、敵に位置を知られるリスクがありません。しかし、周囲の音だけに依存するため、アクティブソナーよりも情報が限られます。

冒頭の潜水艦やまなみの擬装沈没偽装を見破ったのも、パッシブソナーによるハッチの開閉音でした。

アレー(音響・音波センサー)

ソナーのキモとなるのは船首や船体側面に配置されたアレーと呼ばれる音波センサーです。

ソナーマンたちは、ヘッドホンで音を聞くだけではなく、モニターでオシロスコープ?的な波形をみて視覚的に音を判別します。潜水艦によって発する音が微妙に異なるため、その違いを潜水艦の音紋(おんもん)としてデータベースに追加しているようです。

ドラマ中で「〇〇からアッシュビル接近、距離2000」というようなソナーマンのセリフがあります。このような情報は、指紋や声紋で人物を特定するのと同様に、音紋と照合して船体を特定出来ているから可能になるようです。

音響データが艦長に情報として伝わるまで

書籍を参考にまとめてみました。

flowchart TD
  A[アレーによる情報収集] ---> |ノイズ消去| B[データ変換]
  B ---> |フーリエ変換など| C[信号処理]
  C ---> |コンピューターアルゴリズム|D[データ解析]
  D ---> |情報開示| E[ソナーマン]
  E ---> |解釈| F[艦長へ情報が伝わる]

参考文献

本記事は「潜水艦のメカニズム完全ガイド[第2版]」を参考に書きました。

Amazonの解説

高精度な工業製品である海上自衛隊の潜水艦を設計者自身が製作やメンテンナンスを詳しく解説した1冊です。

本書は、潜水艦の歴史や製造、メンテナンスだけではなく、居住スペースやトイレや汚物処理までがわかりやすくまとめられています。潜水艦を知りたい方には、おすすめの本です。

まとめ

以上、潜水艦のソナーシステムについてまとめました。深海で行動を行う潜水艦は、非日常的な空間で活動しています。潜水艦の技術を知ることで、より本作を楽しめるのでは無いかと思い調べてみました。

なにより参考文献が大変興味深い内容でした。このような機会が無ければ読むことが無かった本なので、良い機会でした。