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しんかい6500を 扱った「海に降る」の連続ドラマ版は、今話題の「原作とは別モノ」

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2015年の有村架純主演のドラマを見ました。タイトルは「海に降る」。

有村架純(天谷深雪役)が、研究者でしんかい6500のパイロットであった亡き父の厚志の遺志を受け継ぎ、「深海の宇宙」にであうべく、国立の海洋研究開発機構JAMSTECで奮闘するお話でした。

6話完結のドラマで、非常に楽しく鑑賞しました。その頃の有村架純が娘の年代なので親視点でもあり、2023年6月18日に起きた潜水艇タイタンの沈没事故、沈黙の艦隊を見たこともあり、深海の世界に興味がでていた頃でしたから、よいドラマに出会えたと思います。

以下、備忘録として何点かまとめておきたいと思います。

あらすじ

亡き父に愛されて育った天谷深雪(有村架純)は、海洋学者の父(時任三郎)に深海の魅力を聞かされて育った。「深海には宇宙がある」と言うのが口癖だった父は、10年前に任務遂行中に病死してしまうが、その状況について詳しくは知らされていない。

父の後を追って海洋研究開発機構JAMSTEC)に入職した天谷深雪は、JAMSTECのエース潜水艇しんかい6500のチームに配属されていた。そこで父から聞かされていた「深海の宇宙」を見るために日々日常業務をこなす。

そのころJAMSTECの理事長が交代し、海洋調査分野の取捨選択が行われた。その内容は生物や地質分野の研究が縮小されることが決定。海洋資源メタンハイドレート)探査に全振りすることになり、無人潜水艇の導入が着々と進められるなが、しんかい6500の解体が進められようとする。

そんな中天谷深雪は、なぜか残されていた父の古いロッカーの中からホームビデオを見つけて、父の死と関係するかもしれない映像を発見し、ドラマが進んでいく。

その後、政治と組織のドラマが進んでいくなか、ときおり深海の映像が差し込まれる。見応えのあるドラマでした。

本ドラマの社会的背景

原作が書かれた時期と社会背景を思い出すことで、本ドラマをより楽しく見ることが出来そうです。

皆さんは覚えていますか?民主党政権時代の事業仕分けを。白いスーツのおばさんが怖い顔で「二番じゃだめなんですか?」と問い詰めていた政治ショーを。

民主党政権は2009年9月16日~2012年12月26日、そして「海に降る」の原作が出版されたのが2012年1月11日。ドラマの第1回放送が2015年10月10日でした。

本ドラマの舞台であるJAMSTECも税金が投入されているため、民主党政権の仕分け対象に含まれていました。対外的に成果をアピールできて赤字を出さないように研究範囲が縮小されていたようです。

https://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/giji/__icsFiles/afieldfile/2014/02/20/1344369_10.pdf

PDFをChatGPTで要約させたところ、下記の様にドラマと似たような事が書かれていました。

研究プロジェクトの重点化: 個別に実施していた要素技術開発を廃止し、海洋資源探査に特化した技術開発を行うことにより、予算規模が縮小された(削減額計:697780千円)

白いスーツの恐い顔をしたおばさんも、使命感にかられたのだと思いますが、縮小して失うものが大きかったと分かるのは少し後のこと。ポピュリズム政治の怖さを体感しました。

ドラマ版の「海に降る」は、原作とは全く異なるストーリー

全6話のドラマを1週間かけてみました。沈黙の艦隊潜水艇タイタンの事故等で、最近深海に興味が出てきたところだったので、非常に楽しく見ました。本ドラマおよび原作小説のレビューや解説を見ると、小説とは全く異なるものだそうです。

  • 主人公天谷深雪のお父さんは死んでいない
  • 天谷性は母の旧姓
  • ドラマで協力的だった研究者は、小説では新人の広報担当者
  • 深海に探しに行くのは、「深海の宇宙」ではなくて「白い糸」

JAMSTECしんかい6500天谷深雪を残してガラガラポンしたような、もはや別のストーリーです。先日、脚本家に作品の世界観を変えられた原作者のことが頭をよぎりました。

興味がでたので、今度原作も読んでみたくなりました。

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