少し時間がたってしまいました。
ニュージーランド対南アフリカの決勝が11-12で決着がつき、ラグビーワールドカップ2023が閉幕しました。南アの優勝は2019年日本大火に引き続き2回目。
南アフリカの決勝トーナメントはフランスに29-28、イングランドに16-15、決勝では12-11とすべて1点差。粘り勝ちました。
決勝戦のメモ
年に何回かは対戦する両チーム。個々の選手同士は各チームで交流があるので、知り尽くしたもの同士の戦い。ここ数年は僅差のゲームだったが、8月のゲームは大差で南アが勝利。
スコア速報 - ラグビーワールドカップ(W杯)フランス2023 - ラグビー : 日刊スポーツより引用
決勝戦では、ほぼ常時数的不利のニュージーランドでした。前半3分でシンビン、前半30分でレッドカードがニュージーランドに出され、試合時間の多くを1人欠けた14人で戦う。
ニュージーランドのシンビンはコンタクトプレーで相手の足に乗るという危険なプレーでした。レッドカードはハイタックル。鬼強いフィジカルの南ア相手に、厳しめのディフェンスを仕掛けざるを得ないニュージーランドのつらいところがでました。
とは言いながらも南アも2枚イエローカードをもらっているので、圧倒的不利では無かったわけです。
前半は南ア有利な形で進んだように思いますが、後半はニュージーランドのゲームコントロールで数的有利の南アが得点なしの状態。特に終盤はニュージーランドが勢いを見せて何度も逆転のチャンスがありましたが、及ばずでした。明暗を分けたのがPGの差。
大会通じてキック成功率100%の南アのポラードによる優勝でした。ニュージーランドもあそこで決めておけば・・・。勝利は残酷です。
大会のまとめ
日本代表が活躍できなかった事もあり、にわかファンの増加につながらなかったように思います。12月から始まるラグビープロリーグ「リーグワン」の集客がどうなるのか、気になるところです。
キッキングとレッドカード
大会序盤のイングランド対アルゼンチン戦が、今大会を象徴しています。14人になったイングランドが、キックだけでアルゼンチンに勝利した試合です。
厳しくなったハイタックルの基準、そしてキックがより重要性を持つゲーム運び。それが今大会の特徴かと思います。
ランニングラグビーを指向してルール改正は行われる
大昔に読んだ本に、ラグビーのルールはなぜ行われるかという文章が書いてありました。昔からラグビーは、ルールによって大きくゲーム自体を変化させてきましたが、ルール改正の根本にあるのはより面白いゲーム展開を促すことと、安全性を高めることです。現在のワールドラグビーの考えが30年も前のIRBと同一かはわかりませんが、見ていて楽しーラグビーを追い求めてルールをいじっているという前提で話を進めていきます。
ディフェンス戦術が発達して事もあって、単純にバックスに展開しても突破する事はなくなりました。ニュージーランドが優勝した大会では、ダンカーターやソニービルのオフロードパスを多用したライブレイクは見応えがありましたが、今では攻撃側にそんな余裕がないほどディフェンス優位です。
ハイタックルの厳罰化が思わぬ裏目に
アタック側の目的はボールを保持時ながら前に運んでトライすることですが、ディフェンス側の目的は相手のボール保持を中断させること、ボールを奪ってアタック側に回ること。相手を後に下げさせることです。
腰にタックルを行くとタックルされる側の上半身が自由になりますから、その分オフロードパスは通りやすくなります。いくらタックルをしてもボールは保持され続けてしまいます。
ディフェンス側としては、ボールにタックルに行くこと、すなわち胸の部分にタックルすることでボールを扱う自由を奪い、攻撃を寸断させたい狙いがあります。ボールを持つ上半身にタックルする方が合理的なので、ハイタックルの厳罰化は辛いところがあります。
キック戦術への移行
そのためアタック側はボックスキックで相手ディフェンスを背走させる戦術が多く取られました。キックされたハイボールの攻防も見どころなんですが、画面では面白さが伝わらないのが辛いところ。
というのも、テレビ中継ではボールの軌跡と選手のクローズアップが両方映せないので、ハイボールの攻防がよくわからないです。
マニアな見方でありますが、JSportsの戦術カメラ放送だと、拡大映像が無い分キックの意図や、ハイボールに対しての追い込み方がよくがわかります。敵味方の布陣がすべてわかるので、戦術マニアにはたまらない映像です。
戦術カメラ放送を楽しむ人は少ないでしょうから、一般のテレビ放送で楽しめるようなルール改正をになっていけばいいなと思います。
以下、備忘録
ニュージーランドと南アフリカの対戦成績
この決勝までの対戦成績はニュージーランド62勝、南ア39勝、引き分け4試合とのこと。2021年からの勝敗表を見るとワールドカップ直前の8月25日におこなわれた試合が大差でしたが、ほぼ互角の両ーチームの対決。
勝敗表
日付 | 勝者 | NZの得点 | 南アの得点 |
---|---|---|---|
2021-09-25 | ニュージーランド | 19 | 17 |
2021-10-02 | 南アフリカ | 29 | 31 |
2022-08-06 | 南アフリカ | 10 | 26 |
2022-08-13 | ニュージーランド | 35 | 23 |
2023-07-15 | ニュージーランド | 35 | 20 |
2023-08-25 | 南アフリカ | 7 | 35 |
総得点・総失点
チーム | 勝利数 | 総得点 | 総失点 |
---|---|---|---|
ニュージーランド | 3 | 135 | 152 |
南アフリカ | 3 | 152 | 135 |
決勝戦のスターティングメンバー
背番号 | ニュージーランド | 南アフリカ |
---|---|---|
1 | イーサン・デ・グルート | スティーヴン・キットショフ |
2 | コーディ・テイラー | ンボンゲニ・ンボナンビ |
3 | タイレル・ロマックス | フランス・マルハーベ |
4 | ブロディ・レタリック | エベン・エツェベス |
5 | スコット・バレット | フランコ・モスタート |
6 | シャノン・フリゼル | シヤ・コリシ |
7 | サム・ケーン | ピーター・ステフ・ドゥ・トワ |
8 | アーディ・サヴェア | ドゥアン・フェルメレン |
9 | アーロン・スミス | ファフ・デ・クラーク |
10 | リッチー・モウングァ | ハンドレ・ポラード |
11 | マーク・テレア | チェスリン・コルビ |
12 | ジョーディ・バレット | ダミアン・デ・アジェンデ |
13 | リエコ・イオアネ | ジェシー・クリール |
14 | ウィル・ジョーダン | カートリー・アレンセ |
15 | ボーデン・バレット | ダミアン・ウィレムセ |
リザーブ
背番号 | ニュージーランド | 南アフリカ |
---|---|---|
16 | サミソニ・タウケイアホ | デオン・フーリー |
17 | タマイティ・ウィリアムス | オックス・ンチェ |
18 | ネポ・ラウララ | トレヴァー・ニャカネ |
19 | サム・ホワイトロック | ジャン・クレイン |
20 | ダルトン・パパリイ | アールジー・スナイマン |
21 | フィンレイ・クリスティ | クワッガ・スミス |
22 | ダミアン・マッケンジー | ジャスパー・ヴィーゼ |
23 | アントン・リーネルト・ブラウン | ウィリー・ル・ルー |
以上、下書きに眠っていたかなり古い記事をこそっとアップロードした記事です。