「巨大地震注意」という聞き慣れない言葉を耳にして2日が経ちました。
TVで専門家の人たちが「防災対策を見直す良いきっかけ」であることを強調していました。これをきっかけに、自分の行動範囲の地震後の被害状況の予測をまとめておきます。
災害による人的被害を防ぐには、現実を見て対策を取るべきだと考えています。役所の資料では「ここに留まると津波で死ぬ」と間接的に書いてくれています。資料から読み取れた現実的な話を書き残しますが、現実が突きつけられると、お住まいの場所によれば心が痛む方もおられると思います。事実を書き残していますので、ご注意ください。
最初にまとめ
神戸市では9000人以上が津波の被害で命を落とすと予測されています。
予想される震度は震度6弱で、家屋の損壊による死者数よりも津波の方が多い予測です。神戸市では99%(兵庫県全域では96%)が津波による死者です。
それでは、どの地域の津波の被害が多いのでしょうか。ハザードマップと重ねてみると2つの場所が広範囲に浸水すると予測されています。その辺りが危険地帯なのかもしれません。
1 箇所目は東灘区の阪神電車の南側(海側)で、埋め立て地が多い地域です。工場地帯と住宅が立ち並ぶ地域で最大3mの浸水被害があります。
2箇所目は三宮〜神戸〜和田岬のエリアです。住宅商業工業全てがある地域で、広範囲な浸水が予想されています。ハザードマップによれば、JR三宮は浸水を免れますが、旧居留地やJR元町駅の南側からJR神戸駅まで浸水するため、地下街の浸水も予測されています。
ハザードマップの凡例は以下のとおりです。
神戸市への津波は、地震発生から80分に到着予定です。例えば東灘区の海抜1.7m程度の深江浜のくら寿司から、標高7mの2号線の赤鳥居交差点までは1.8km。時速4kmで歩いても27分でです。低地にいても計画に従って迅速かつ冷静に行動すれば、安全な場所へ避難することができます。
そう、神戸の場合は六甲山に向けてひたすら歩くことです。
最初の揺れで状況を判断して、即座に山側に移動するのが神戸で生き残る方法になります。
帰宅困難者にならないための帰宅シミュレーション
過去に南海トラフ後の帰宅シミュレーションを行ったことがあります。大阪の事務所から神戸まで2号線を走って帰る想定で、2号線の標高を調べました。
すぐに帰るのは困難という結論になりました。大阪、尼崎、西宮の市街地は、標高が低いところが多いので津波被害が多いと予想されます。標高の高い山よりの大回りで帰らないといけません。
下図は、津波の被害予想地域と陰影起伏地図を合成して作成した地図です。2号線や43号線だと津波被害地域を通過します。下図の左側の赤線のルートになります。このルートは使えなくなる可能性は大きいです。
大阪市内の高台といえば大阪城から南に続く上町台地です。津波が来る前に上町台地まで走れれば、津波到達範囲外に出られるかもしれません。上図の右側はそこからの避難ルートを示します。
上町台地に逃れた場合は、柴島浄水場を経由して北に向かい、コストコ尼崎店を目指して山手幹線に入れば、標高の高いコースで帰れます。かなり遠回りになるのであくまで一案ですが。
どのような事態になるかわからないので、幸い事務所がビルの5階にありますので、そこで津波をやり過ごしてから、走って帰るというのが今の所の妥当な避難計画です。
以下は雑多なスクラップになります。新たな情報があれば追記する予定です。
巨大地震注意とは
- 「巨大地震警戒」
- 想定震源域内のプレート境界において、モーメントマグニチュード8.0以上の地震が発生したと評価した場合
- 「巨大地震注意」
- 監視領域内※1において、モーメントマグニチュード7.0以上の地震※2が発生したと評価した場合(巨大地震警戒に該当する場合は除く)
- 想定震源域内のプレート境界において、通常と異なるゆっくりすべりが発生したと評価した場合
都道府県、市区町村レベルのきめ細やかな情報を探す
マスコミは被害の大きいところ向けの情報を流しがちです。いろいろ聞くと心配なりがちなので、自分する地域はどうなのかを調べたほうが建設的です。
https://web.pref.hyogo.lg.jp/kk37/documents/souteikekka.pdf
兵庫県の震度予想
神戸市の平地は震度6弱、六甲山は5弱~5強。
津波
三宮・神戸・兵庫エリアの浸水予想
https://web.pref.hyogo.lg.jp/kk37/documents/siryou1kouhyousiryougaiyou0515.pdf
兵庫県の市町村別死亡者予測
神戸の死者数を抜粋します。
- 津波の死者9254人
- 揺れによる死者65人
- 火災による死者13人
- 土砂災害による死者2
強い揺れで倒壊した建物や屋内で落下・転倒してきた家具等の下敷きとなり、死傷者が発生す る。建物等の下敷きになり自力脱出が困難で、火災に巻き込まれる人もいる。揺れによる死者 が最も多いのは冬の早朝であるが、平日の昼間は、就業中の人が多く、事業所の耐機化や、コピ一機・ロッカー等器の固定などの対策が重要となる。 地震発生後、最も早い淡路地域の約40分後を皮切りに、約80分後に神戸、約110分後に阪神、 播磨地域に津波が到来する。沿岸市町では浸水深30cm以上の区域の建物1・2階に約143,000人 が滞留しており、浸水深30cm以上になると人的被害が発生し始める。浸水深1m以上の区域に 残っている人は津波に巻き込まれればほとんどが死亡すると考えられることから、逃げ遅れによる多くの死傷者が出る。 揺れ、火災、土砂災害、津波などによる死者は、24市町で約29,100人に及ぶ。このうち津波 によるものが約28,000人、揺れによるものが約1,050人、火災によるもの等が約50人であり、 死者の96%は津波が原因である。浸水域に昼間の人口が多い神戸市や、尼崎市、西宮市で特に被 害が大きく、3市で全体の約85%(約24,700人)を占める。 なお、死者数は津波の避難率が70%として算定しており、発災時の混乱や渋満などで避難が遅 れた場合にはこれを超える人的被害が生じる可能性がある。一方、全員が早期避難すれば死者数 は大幅に減らすことができるが、避難率が向上すれば、建物の中・上層階や津波避難ビルに一時 的に避難して取り残される人が増えるため、多数の要救助者に対応する必要がある。 また、これとは別に、夏の昼間、瀬戸内海側の海には一日平均約5万人、ピーク時では約20 万人もの海水浴客等が存在し、避難しなければ津波に巻き込まれる恐れがある。特に多くの海水 浴客が集まる須磨海岸や淡路島の海水浴場では、多数の海水浴客が一斉に避難することによる混 乱や二次的な事故の発生も考えられるため、迅速・的確な情報伝達と避難誘導が必要になる。