映画「はたらく細胞」を見てきました。
はたらく細胞は、原作があります。体の中の細胞の役割を擬人化したストーリーが展開する大人気漫画だったものが、数年前にアニメ化、そして2024年12月13日に実写版が公開されました。主人公である赤血球が仕事(酸素の運搬)を行うなか、細菌やウイルスの侵入に対して、白血球などの免疫システムが戦うお話です。
映画版では、細胞たちの宿主である人間自体のストーリーも追加されていて、より説得力が出て身近な話しとして細胞たちの働きが描かれています。
数年間に読んだコミックでは、体の細胞が上手に擬人化されていて興味深く読みました。難点と言えば登場する細胞の種類が多いことでしょうか。細胞ごとにそれぞれ重要な役割があり、正確に伝えるには端折れないのでしょう。サブキャラ的な細胞には都度解説が入るので読み進める分には問題はありません。
擬人化された細胞の一部をまとめます。
- 赤血球:永野芽郁、加藤諒
- 役割:酸素運搬
- 身体中の細胞に台車やリュックに酸素ボンベを詰めて運ぶ人
- 白血球(好中球):佐藤健
- 役割:体内に侵入してきた細菌やウイルスなどの異物を排除する
- ナイフなどの武器を持つ殺し屋
- 血小板:小さい女の子たち
- 役割:血管が損傷した際に集合し、血液凝固を起こして傷口をふさぐ
これ以外にもいくつかの細胞たちが擬人化されていますが、映画版ではかなり端折られていたように思います。ストリーが複雑になるので、映画版ぐらいの大雑把さがちょうど良いと思います。
コミック版はたらく細胞より
映画版の特徴
コミックやアニメは一部をのぞいてほぼ1話読切り構成で、擬人化した細胞たちの世界でストーリーが進んでいきます。
対して映画版では、細胞たちの体の持ち主の生活も描かれています。これがとっても良かったと思います。
不摂生な生活を送る父親役を演じる阿部サダヲの体内の様子は、昭和のうらびれた路地裏のような雰囲気で描かれている。一方、食生活に気を使う健康的な生活を送る娘役の芦田愛菜の体内は整理の行き届いたビルだったり、花が咲きほこる公園だったりする。
体の持ち主の体の不調とリンクして体内のトラブルの様子が描かれているので、怪我や病気の際の体内の変化が大変わかりやすく理解できます。
劇場版に採用されたアニメ版のエピソード
映画鑑賞後に映画内で取り上げられたエピソードをアニメで見返してみました。Amazonプライムやその他のオンデマンドサイトでも鑑賞可能です。
下記に映画に出たエピソードのシーズン・エピソードをまとめておきます。全部ではありませんので、後に更新するかもしれません。
すり傷と血小板
- シーズン1
- エピソード2 すり傷
がん細胞との戦い
- シーズン1
- エピソード6 赤芽球と骨髄球
- エピソード7 がん細胞
- シーズン2
- エピソード7 がん細胞II(前編)
- エピソード8 がん細胞II(後編)
阿部サダヲの不摂生
- はたらく細胞BLACK
- エピソード1 喫煙、細菌、終わりの始まり
- エピソード2 肝臓、アルコール、誇り
最後に。闘病中の家族を持つ視点から
体の免疫システムの概要を興味深く学べた映画でした。と同時に身近に病気に関連している人には、少しヘビーな内容でもありました。最後の方は涙なしでは見られませんでした。
最初は軽い気持ちで鑑賞した『はたらく細胞』でした。闘病中の家族と一緒に行ったので、免疫細胞とがん細胞の戦いが激化するシーンは、かなりつらく思いました。
抗がん剤はがん細胞だけではなく、正常細胞にも影響を及ぼします。NK細胞(仲里依紗)、キラーT細胞(山本耕史)、白血球(好中球・佐藤健)が抗がん剤でがん細胞とともに死んでいくシーン、すなわち体内の免疫システムが崩壊していく様は、隣に座っている家族の体でまさに起こっている出来事です。
抗がん剤のとんでもない作用と副作用を可視化する映像が、目の前のスクリーンに映し出されています。映画に連れてきてしまったと後悔しました。
後で本人に回答するシーンについて感想を聞いてみると、意外とけろりとしていました。今回で3回目の抗がん剤になる本人にとっては、現実の苦しみの方が強かったので、映画の世界の描写はあくまでも虚構、特にダメージがなかったのだとか。